大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 平成元年(特わ)307号 判決 1989年7月25日

本店所在地

東京都調布市東つつじケ丘二丁目二六番地二

成和地所建物株式会社

(右代表者代表取締役 清水保夫)

本籍

東京都調布市東つつじケ丘二丁目二六番地二

住居

右同所

会社役員

清水保夫

昭和二年九月二九日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官渡辺咲子出席の上審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人成和地所建物株式会社を罰金七〇〇〇万円に、被告人清水保夫を懲役二年に処する。

被告人清水保夫に対し、この裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人成和地所建物株式会社(以下、被告会社という。)は、東京都調布市東つつじケ丘二丁目二六番地二に本店を置き、不動産の売買及びその仲介等を目的とする資本金四八〇〇万円(昭和六〇年八月二〇日以前の資本金は一二〇〇万円、昭和六二年五月二五日以前の資本金は二四〇〇万円)の株式会社であり、被告人清水保夫(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役として被告会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、不動産の売却に際し、名目上他社を介在させて売上高の一部を除外し、不動産売買に際し架空支払手数料を計上し、架空の役員報酬、給料手当、賞与手当を計上する等の方法により、所得及び課税土地譲渡利益金額を秘匿した上

第一  昭和五九年一〇月一日から昭和六〇年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億六五六九万〇一一九円であり(別紙1修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が八億二九九七万四〇〇〇円あつた(別紙2脱税額計算書参照)にもかかわらず、確定申告書提出期限の延長処分による申告提出期限内である昭和六〇年一二月一六日、東京都府中市分梅町一丁目三一番地所在の所轄武蔵府中税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二億〇八三一万二七〇四円で、課税土地譲渡利益金額が六億九〇四一万二〇〇〇円であり、これに対する法人税額が二億二六五五万二六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第五一七号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三億二一二九万六〇〇〇円と右申告税額との差額九四七四万三四〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和六〇年一〇月一日から昭和六一年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四億二五五八万九八九九円であり(別紙3修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が一一億二〇二六万七〇〇〇円あつた(別紙4脱税額計算書参照)にもかかわらず、確定申告書提出期限の延長処分による申告提出期限内である昭和六一年一二月一五日、前記武蔵府中税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億一六六八万七四一九円で、課税土地譲渡利益金額が八億五〇四七万九〇〇〇円であり、これに対する法人税額が二億〇三一七万三四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第五一七号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三億九〇八八万五四〇〇円と右申告税額との差額一億八七七一万二〇〇〇円(別紙4脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の売上高(不動産売上)、役員報酬、給料手当、賞与手当、租税公課、受取利息、雑収入、土地譲渡税額の調査書

一  検察事務官作成の謝礼金、事業税認定損の捜査報告書

一  大蔵事務官作成の証明書及び確定申告書の申告期間延長についての査察官報告書

一  登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の支払手数料、雑損失の調査書

一  検察事務官作成の株主配当の捜査報告書

一  押収してある昭和六〇年九月期分法人税確定申告書一袋

(平成元年押第五一七号の1)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の不動産原価、役員賞与損金不算入額の調査書

一  査察官作成の昭和六一年九月期分土地譲渡税額の報告書

一  押収してある昭和六一年九月期分法人税確定申告書一袋(平成元年押第五一七号の2)

(法令の適用)

罰条

被告会社 各法人税法一六四条一項、一五九条一項、情状により一五九条二項

被告人 各法人税法一五九条一項

刑種の選択 被告人につき各懲役刑選択

併合加重

被告会社 刑法四五条前段、四八条二項

被告人 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)

刑の執行猶予 被告人につき刑法二五条一項

よつて、主文のとおり判決する。

(求刑被告会社 罰金八〇〇〇万円 被告人 懲役二年)

(裁判官 柴田秀樹)

別紙1

修正損益計算書

成和地所建物株式会社

自 昭和59年10月1日

至 昭和60年9月30日

<省略>

別紙 2

脱税額計算書

成和地所建物株式会社

自 昭和59年10月1日

至 昭和60年9月30日

<省略>

別紙3

修正損益計算書

成和地所建物株式会社

自 昭和60年10月1日

至 昭和61年9月30日

<省略>

別紙 4

脱税額計算書

成和地所建物株式会社

自 昭和60年10月1日

至 昭和61年9月30日

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例